第20章 柱稽古とお館様
再び静寂が2人を包み込み、そのまま互いに視線を逸らさず暫く時間が経過する。
(やはり……そうですよね。私の力量を柱の方全員が試しているとなると、それしか行き着くお話はありませんし……)
平静を装いながら頭の中で考えを巡らせ整理し、更紗は慎重に口をゆっくり開いた。
「まずはお認めいただいたこと、誠にありがとうございます。ですが理由をお聞かせください。私は経験も実力も皆さんより劣り、唯一抜きん出ているものは生まれ持った治癒能力だけです。なぜそのような私を師範は推薦し……また柱の方々やお館様はお認めくださったのでしょうか?」
こんな重大な話を更紗は簡単に受けることは出来ない。
いい加減な軽い気持ちで受けてしまっては、自分に時間をさき見極めてくれた人たちに示しがつかないからだ。
一筋縄ではいかない更紗に杏寿郎も慎重に考えを纏めて質問に答えた。
「確かに今現在更紗は経験や力量はどの柱よりも劣るかもしれない。だが君の成長は目を見張るものがあり、近い将来俺たちに並ぶと全員が判断した。それにその生まれ持った治癒能力は控えている鬼舞辻無惨との闘いで、間違いなく鬼殺隊にとって大きな力となる。誰かの指示を受けて行動するのではなく、自分で考え行動し……剣士たちを導き守って欲しいと思ったのだ」