第20章 柱稽古とお館様
あれから杏寿郎からは愛でられ義勇からは無関心でいられ、圭太や剣士たちからはからかわれ……精神的にクタクタになってしまった更紗であったが、杏寿郎と義勇の手合わせだけは見逃さなかった。
相変わらずの自然災害の後は、義勇の希望から赫刀に変化させるものとなった。
なんでもその理由というのが
『不死川と同じものを身につければ仲良くなれるかもしれない』
という可愛らしいものだった。
だが杏寿郎は義勇の前向きな気持ちがとてつもなく嬉しかったようで喜び勇んで義勇の相手を務めあげ、無事に赫刀へと変化させてフワフワした笑顔をたたえた義勇は自分の屋敷へと帰っていった。
「冨岡様、実弥さんと仲良くなれればいいですね」
「そうだな。今は皆が神経を張りつめているのですぐには難しいかもしれんが、必ず共に笑い合える日はくるだろう。その兆しが…… 更紗の返答次第では確認出来るかもしれん」
夕餉も終わり剣士たちも稽古の疲れから早くに寝静まり、この屋敷内で起きているのは更紗と杏寿郎の2人だけ。
2人だけがいる寝室の中は杏寿郎の言葉で耳が痛くなるほどの静けさに包まれた。
「それは……柱の皆さんが私の力量を試されていたことに繋がるお話ですか?」