第20章 柱稽古とお館様
剣士たちの稽古内容
腹筋500
背筋500
腕立て500
素振り1000
午前と午後に一巡ずつ。
更紗の稽古内容
剣士たちの稽古内容全て2倍
午前と午後に一巡ずつ。
それに今日は特別に全員へと走り込みも追加された。
嬉しくない贈り物である。
稽古内容が杏寿郎から発表された時、笑顔で固まる更紗へ義勇も含め全員が憐れむ視線を送ったのは言うまでもない。
しかも順番は上記の通りに進めなくてはならず、剣士たちはもちろん更紗の驚異的な自然治癒力をもっても、午前が終わる頃には腕がプルプル震えてしまっていた。
「おにぎりが……手から転がり落ちそうです。でも食べなければ午後からの体力がもちませんし」
放っておけば午後からの稽古が始まるまでには回復するだろうが、それでは昼餉を食べ損なってしまう。
だからどんな手段を用いてでも腹を満たさなければならない。
「こうなれば……お行儀がどうこう言ってられません」
更紗は勢いよく立ち上がり、まだ比較的元気な足を動かして居間から台所へと移動を開始するが、背後からの声により止められた。
「更紗、台所に用事か?必要なものがあるなら取ってきてやるから言いなさい」