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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第20章 柱稽古とお館様


ヌメヌメとした不快感から解放された更紗は胸を撫で下ろすが、同時に不安が広がっていく。

「このお屋敷に剣士がいる事が知られてしまったでしょうか?」

握り潰しても消滅しなかったのだ、通常の刃物や物理攻撃ではなく日輪刀が唯一の対抗手段となる。
陽の光を人工的に再現する技術がない現在、分身を作っている鬼は日輪刀で斬られたのだと察しているはずだ。

「知られただろうな。だがそれだけだ、それ以上は知られてない」

「はい。そう……ですね。夜中にお騒がせして申し訳ございませんでした。夜……早く明けてほしいですね」

ただ鬼に監視されている息苦しい夜が早く過ぎればいい……そういう意味で言ったのだが、何故だか義勇は衝撃を受けたような表情となってしまった。
そこまで言葉足らずだったというわけでもないのに、驚愕している義勇に更紗も驚愕して首を傾げた。

「私、何か変なことを言ってしまいましたか?」

「……お前は俺が嫌いか?」

質問を質問で返された。
しかも嫌いなど一言も言っておらず、そうした意味合いの言葉すらなかったはずなのにとんだ変化球である。
それを突如投げ付けられた更紗はたじたじだ。

「え?!好きか嫌いかで聞かれますと間違いなく好きですよ!こうして私の睡眠時間を案じて目の対処をして下さいましたし、合戦の時も私の体を案じてくださいましたから。お優しいと思います」
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