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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第20章 柱稽古とお館様


その日の夜、更紗は与えてもらった部屋で神久夜を胸に抱いたまま身動きが取れずにいた。

月明かりで照らされた障子の向こう側、庭へと続く縁側に小さな丸い影……行冥の屋敷で見たものと同じ目玉を見つけてしまったからだ。

(どうしよう。日輪刀で刺したらここに鬼殺隊剣士がいるってバレますよね……かと言って普通の刃物を突き刺したとして倒せるものでしょうか?)

こうして考えている間も影は中へ侵入しようと隙間を探したり、障子を突き破ろうと体当たりを試みている。
このままでは屋敷の中へ侵入されるのも時間の問題であり、それは1番避けたい事態である。

更紗は大きく深呼吸を落とすと、神久夜を畳の上に敷かれている布団の中に隠した。

「神久夜さん、暫くこの中に隠れていてください。私で対処します」

何か言いたそうにしている神久夜を布団の中へ残し、更紗は外で気味悪く蠢く目玉に近付き、意を決して障子を突き破って持てる力全てを手に集中させ握り潰した。

「う……気持ち悪い……再生したりするのかな……神久夜さん、私の手拭いを取って下さいませんか?ちょっと動けなくて」

更紗の声に反応した神久夜は布団からモゾモゾと這い出し、荷物の下に敷かれていた手拭いを嘴で引っ張って更紗へと手渡した。
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