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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第20章 柱稽古とお館様


物騒な言葉を吐かれた剣士は全身を震わせているのに、義勇は容赦なく立ち上がらせて木刀を握らせた。

稽古が再開される様を呆然と眺めていたが、更紗の頭の中は先ほどの剣士の噂でいっぱいになっている。

「仏と思しき阿……無一郎さんの屋敷でも同じ言葉を聞きました。間違いなく私に向けられてますよね。仏と思しき阿……阿……阿修」

「更紗サン、明日水柱様に合格ヲイタダケレバ炎柱様の元へ帰れマスネ!」

神久夜は必死に更紗の思考を違う方向へと転換させた。
自分の相方が不名誉な二つ名を冠されただけでも心を痛めているのに、本人がそれを知ってしまって涙を流す姿など絶対に見たくないからだ。

「え?あ、はい!杏寿郎君とは実弥さんのお屋敷でお会いしましたが、お家でお会いするのは久方ぶりなので楽しみです!神久夜さんにもゆっくりして貰えると思うとホッとします。ずっと一緒にいて下さってありがとうございます」

胸元で抱き寄せていた神久夜を顔の近くに移動させ艶々な羽毛に頬を擦り寄せて感謝を伝えると、神久夜も更紗の頬に頭を擦り寄せた。

「トンデモゴザイマセン!こちらこそ有難うございマス。少し早いデスガ、お疲れ様デシタ」

どうにか話を逸らせたつもりだったが、思いがけず褒美をもらえた神久夜はご満悦である。
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