第20章 柱稽古とお館様
あれから何度か見学していた剣士たちと交代を繰り返しながら稽古を続けたが、義勇の更紗への厳しい稽古の余韻を残していたのか剣士たちに対しても同じようなものだった。
どうにかしてくれと視線だけで何度も縋られるも、更紗にもどうしようもないのが現実である。
更に剣士たちが義勇に太腿をぶたれても即座に更紗が治癒を行ってしまうので、休むに休めず怪我は治るが疲労だけが蓄積されるという無限地獄が発生している。
(治癒に関しては随分認知されてきました。説明しようとしても皆さん知っているふうでしたし)
現在更紗は後ろに下がって神久夜と共に稽古の見学中だ。
今日の稽古は終いなので後は剣士たちの治癒に専念していろ……という雰囲気の言葉を言われたのでそれを忠実に守っている。
そこへ剣士が義勇によって吹き飛ばされてきたので、ニコリと微笑んで治癒を即座に行ったのだが
「も、もうやめ……あの噂、嘘じゃなかった」
「あの噂?噂とは何でしょう?」
「仏と思しき阿……うぎゃっ」
無一郎の屋敷での出来事同様、言葉を遮るように義勇が剣士の襟元を掴んで引っ張っていってしまった。
「無駄口を叩くな……不死川に殺られるぞ」