第20章 柱稽古とお館様
着物の袂から杏寿郎も見覚えのある小瓶が出てきた。
それは紛うことなき更紗の力を素にしのぶが完成させた、痣の副作用を抑える抑制剤だ。
「進化しなくては鬼舞辻に勝てんからな!抑制剤に関しては胡蝶のことだ、念の為に君にも届けたのだろう。柱稽古に参加している以上いつ痣が発現してもおかしくない。だが今のところお守り代わりに持っているだけでいいと思うぞ?」
抑制剤があると言えど副作用を抑えられているのか、はっきりと誰も分からない。
ほぼ大丈夫だろうと想定されているだけで何も確証はないのだ、鬼殺隊を抜けた天元に強制させていいものではない。
「嫁3人おいていくわけにもいかねぇし、煉獄の言う通り今はお守りとして持っとくわ!俺が言うのもなんだが、そろそろ稽古の時間じゃねぇのか?俺ん所はあらかた終わったが、ここまだ剣士たちが続々来てんだろ?」
「そうだな、剣士たちも起きてくる時間なので稽古の準備を始める。時間があるならば見て行くか?汗水流して腹筋背筋腕立て、素振りをする姿は初めの頃の更紗を思い出して、なかなか感慨深いものだぞ!」
杏寿郎の筋力強化は基礎的なものを鍛えるようだが、きっとそれぞれ課される回数は地獄なのだろう……
「お!いいね!んじゃ俺は茶でも貰いながら眺めさせてもらうわ!」
地獄の稽古をしている横でまったりお茶を飲まれると剣士からすれば腹立たしいだろうが、今日は耐えるしかない。