第20章 柱稽古とお館様
「どうにかここに戻るまで阻止したいものだが……例の件もあるしな」
現状、物理的に距離が離れているのでどうにも出来ない歯がゆさが残るが、今は運と無一郎、義勇の手腕に掛けるしかない。
それに杏寿郎にはそれ以外にも懸念事項があるようで、更紗の精神状態を懸念事項の為に安定させておいてやりたい気持ちが強いらしい。
「あぁ、あれな。俺はもう鬼殺隊の剣士じゃねぇから決定権なんてもんは持ち合わせてないが、聞かされたら派手に動揺すんだろうな!お館様や柱の奴らからは承諾得てんだろ?」
「もちろん全員承諾済みだ。鬼が偵察し始めたのは想定外だが、このまま話は進める方針となっている。先の闘いであの子が力を発揮するには必要な事だからな」
きっと更紗が知りたい情報のことだろう。
精神状態を安定させておいてやりたいということは、それなりに重大な案件に違いない。
「ねぇとは思うが拒否したらどうすんだ?」
「初めは拒否……と言うより辞退したがるだろうが、その理由を知れば拝命すると思っている。それでも拒むのならば、それはそれで仕方がないとも思っているがな。何分突然のことであるし、何より今まで我慢ばかりさせていたので無理強いはしたくない」