第20章 柱稽古とお館様
「足腰が上手く連動してないから疲れるんだ!せっかく持久力はあるんだから有効に使わないと!」
「はい!こう……でしょうか?」
「うん!随分良くなってるよ!」
神久夜と要を道場の隅っこに安置してから一刻。
他の剣士たちに見守られながら永遠と体を動かし続け、更紗の動きがだいぶと様になったところで漸く無一郎の動きが止まった。
「お疲れ様!更紗ちゃんの場合は基礎も応用もしっかり身に付いてるけど、気持ちが先走っちゃうって感じだね。焦らずに気持ちを落ち着ければもっと良くなるよ」
普段の行動を言われているようで更紗は耳が痛いだろう。
最近では1度立ち止まって考えてから動くようにしているが、まさか戦闘においてもそれが現れていたなんて思いもしなかった。
「ありがとうございます!今のお言葉は既視感を覚えるお言葉です……でもこうして指摘していただけると改善出来るのですごく有難いです!では私は打ち込み台で稽古を続けます。またお時間出来ましたらお手合わせお願い致します」
また1つ出来ることが増えると思うと更紗の表情は自然と満面の笑みとなり、それを見ている無一郎や剣士たちの表情もつられて穏やかになった。