第20章 柱稽古とお館様
「私たち柱や剣士のことを気にする必要はない。元々人とは夜に出歩くことを控えるものだ。それに柱は鬼舞辻無惨から元より警戒されているので、今更居場所を知られたところで憂うほどのことでもない」
まさか胸の内をここまで言い当てられると思ってなかった更紗は目をぱちくりと瞬くが、行冥のさり気ない気遣いに顔を綻ばせた。
「悲鳴嶼様とこうしてお話し出来てよかったです。お陰様で気持ちが随分と軽くなりました。ですが、どうか悲鳴嶼様もお気をつけ下さい。難しいと理解していますが、私は柱の方々を含め鬼殺隊の皆さん誰一人欠けて欲しくないのです」
「君の言葉、心に刻んでおこう。あと難しいと諦めては出来ることも出来なくなる。諦めずに努力を続ければ望むものに確実に近付けるはずだ」
どんなに実現不可能と思われる事柄でも笑わず真剣に聞き助言を与えてくれる行冥へ、更紗は座ったまま深く頭を下げて感謝の意を伝えた。
この後すぐ行冥はお館様へ鎹鴉を飛ばし、翌日には柱を含めた剣士たち全員に鬼が動き出していることが伝えられた。
それと共に柱の警邏業務以外、剣士たちは可能な限り夜の外出を控えるよう指示も出された。