第4章 ギフト
バッサリ切られて二の句が継げないでいると、煉獄さんはそっと私の右手を取って眼帯越しに自身の左眼へ触れさせた。
「この左眼は、君と共に上弦の鬼を退けた際に失ったものだが、本来なら俺はあの任務で死んでいた」
"死"という言葉に思わずギクッと身を硬くする。
ふと、あの夢を思い出してしまったからだ。
様々な場面を断片的に観ている様な、不自然な夢を。
夢の中の彼は、何度も死ぬ。
「君は幾度も時戻りで鬼を倒す機会を与えてくれたが、俺には力が足りなかった。柱として不甲斐ないな」
煉獄さんは私の記憶の事を知ってから、その当時に関する話を私にした事が無かった。
左眼について聞いた時も、詳しくは語らず任務で負傷したとだけ。
それなのに、今になってどうして話してくれるんだろう。
「あの時、君は俺に死ぬなと言った。俺が死ぬのを嫌だ、とも。何故か分からないが、君は俺を救う為に命を掛けてくれた」
「あの・・・私と煉獄さんて、何処かで会ってたりとかします?その、例えば前の任務で助けたり、とか・・・」
「いや、初対面だった。そもそも君は未来から来たのだから、出会える筈もない」
「です、よね・・・」