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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第8章 夏祭り





外は既に日は傾き始めているがまだ暑い。いつもに比べて生地は薄いが袖が長いからか体温も高い気がする

隣の彼はそこだけ気温が違うんじゃないかと言うくらい涼し気な顔をしている。浴衣姿が見慣れなくて変な感じがした


『浴衣、着なくても良かったのに』

「名前が着てたからちょうどいいじゃないか」

『征十郎浴衣持ってないの?』

「あった気がするね」

『それ着てくればよかったじゃん』

「名前が着てると思わなかったんだ」

『あたしも雪さんに誘われただけだよ』


2人神社に向かって歩く。いつも制服姿の彼と歩いているせいかそれも不思議な感じがした


「浴衣姿の人、増えてきたね」

『混んでるかなー混んでるよね、夏休みだもん』

「嫌になったら帰ればいいよ」

『…まあ、そうね』


彼の言うことはもっともだ。別に夜まで会場にいる必要はない

とは言ってもやっぱりお祭りの雰囲気を味わいたいと考えていると、片足に変な感覚がする

振り返ると少し後ろに下駄の片割れが置いてかれていた


『わ、下駄すっぽ抜けた』

「何やってるんだ」

『ごめん普通に歩いてたつもりなんだけど』


けんけんして取りに行こうとすると征十郎が取りに歩いて行く。そのまま屈んで裸足の足に履かせてくれた

まったく置いてくれれば自分で履くのにと思うが、仕方がない


『ありがとう』

「転ばれたら困る。手を繋ごうか」

『えー平気だよ。同級生に見られたら冷やかされるよ?』

「今更だろう」

『…そうだけどさ』


帝光祭のスタンプラリーを一緒に出たからか勘違いしてる人は少なくない

差し出してくる彼の手を取らず歩こうとすると、勝手に手首を掴まれる


『ちょ、ちょっと』

「転ばれたら困るからね」

『…そう』


こういう時彼は頑固でいくら言ってもこちらの意見を聞いてくれないのは知っている。諦めるようと1人溜め息を吐き、いつもより小さな歩幅で歩いた

そのまま歩いていると神社の鳥居と屋台の明るい光が見えて来る。この明かりが見えて来る前に下駄は2回すっぽ抜けた

征十郎は何も言わず拾ってくれたが、「だから言っただろう」と言いたげな彼の視線はよく分かり口には出さないものの反省した






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