第8章 夏祭り
『わーなんか、屋台見るとテンション上がるね』
「そうだね、いい匂いもする」
『まだ夕飯の時間じゃないのにお腹空くね、なんか食べる?』
「見てから決めようか」
屋台を見て回ってると色んなものが美味しそうに見えて来る
でも流石に全部は食べれないしどうしようかと考えていると征十郎が「半分こしようか」と提案してくれたのでその案に乗らせてもらった
焼きそば、焼き鳥、お好み焼き、じゃがバタにその他もろもろ、本当に食べきれるのかという心配な量と持って休憩所に座る
「焼きそば、紅しょうがある方食べていいよ」
『はいはい』
前にパックを広げて食べ始める。やはりこういう場でも所作が綺麗だなと考えながら見ていると、向かいを座る彼が何かに気がつく
何だろうと振り返ると甚平を来た紫原が立っていた
「あれー赤ちんと名前ちんだ」
「紫原、1人か」
「ううん、兄貴たちと一緒に来てる」
「そうか」
「2人とも何食べてんのー?」
『色々あるよ。ちょっと食べる?』
「いいのー?!」
『ちょっと、ちょっとだからね!はい!』
彼に空いたパックにこれなら食べていいと別にしたのを渡すと隣に座る
本当に噛んでいるのか心配になるくらい早く食べる彼によって気がつけばパックの中は空になっている。こちらもまだ食べ終わってないのにすごいなと、人並みの感想しか出てこなかった
「あー美味しかった」
『良かった。もうあげないよ?』
「大丈夫、兄貴たちが奢ってくれるから」
「そうか、お兄さん達は?」
「今お参り行ってるとこ〜」
『紫原行かなくていいの?』
「どうせ並んでるでしょ、今から合流するからへーき。じゃあね〜」
ひらひらと手を振って紫原は去っていく。お兄さんのお財布が心配だが家族なので彼がよく食べることは知ったうえで言っているんだろう
彼に手を振り返し見えなくなったところでまた食事に手を付け始めた