第23章 赤色と多忙な日
『…なんでこの班なのかなぁ』
2軍の練習試合があった翌日、家庭科の授業で調理実習が行われるのだが班が見事過ぎて絶句している
男女それぞれ2人ずつの計4人班で行うはずが、女子の片割れが発熱で欠席
そして男子が涼太に紫原と、まさに奇跡的な面子が揃ってしまった
そもそもこの2人お菓子なんか作れるのかと思いながら手を洗って調理台に立つ
「バターをクリーム状にするってどうやるんスか?」
『…ボールにバターを入れてヘラで潰しながらほぐす』
「了解っス!」
「卵黄を分けるってどうやるの~?」
『…卵白を落とす』
「…落とす?」
『こう』
「なるほどね〜分かった~」
意識しなくとも溜め息を吐いてしまい、涼太が終わったと言うバターが入っているボールにグラニュー糖を2回に分けて入れていく
「名前っち手際良いっス!ね」
「さすが名前ちーん」
『…ありがとう』
とりあえず紫原に薄力粉をふるってもらい、涼太には鉄板にクッキングシートを用意してもらう。指示すれば動いてくれる2人だ
青峰と灰崎というサボりそうなメンバーより全然マシだと、生地を混ぜる
「名前ちーん、できた~」
『じゃあこれにその粉入れて、まとめてから形を整えようか』
「分かった~」
「…これ手でやるんスか?」
『スプーンが何のためにあるのか考えようよ』
「納得したっス!」
「名前ちーん、オレのだけでかくしちゃダメー?」
『生焼けになるからやめときな』
「は~い」
『ほら、とりあえずできたら鉄板の上に乗せて。生地を全部使いきったら焼くから』
型で抜いているうちに生地がなくなったため、あらかじめ予熱していたオーブンにクッキーを入れた