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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第13章 彼の誕生日と





そんな背後から抱きつかれている状態のままどのくらい経ったのか、彼はそのまま動かない


『あのー、征十郎さん?』

「…男に抱きつかれたんだって?」


噂を知っていたのかと驚いたが、彼なら何でも知っているから当たり前かと思う自分もいる


『まあ』

「じゃあ上書きってところかな」

『…そう』


どのくらいそうしていたのか分からないが、「帰ろう」と立ち上がる征十郎を引き留め、カバンからラッピングされたそれを取り出す


『た、誕生日プレゼント』

「…名前」

『は、はい?』

「抱き締めてもいいかな」

『え、あ、うあっ!』


良いともだめだとも言っていないのに、正面から背中に腕が回る。バランスを崩してしまったが、征十郎の抱きしめ方により転倒せず留まることができた


『…』


今まで経験のない状況に身体が心臓になってしまったんじゃないかというくらい動悸の音がしていた

彼にも聞こえているんじゃないかと確認したいが表情は見えないし、分かっていないんだとしたら聞くことでバレてしまうことになる


『…せ、征十郎さん?』

「名前は、どれだけオレを心配させるんだ」

『…は』

「いや、何でもない、気にしないでくれ。とりあえず着替えてくるよ」

『あ、はい』


征十郎が着替えに行くと言ったので見送ると、曲がり角で彼が立ち止まる

すると、いつからいたのか分からない目を輝かせている桃井とお菓子を食べている紫原がこちらを見ており、眼鏡を光らせた緑間は真っ赤な表情をして佇んでいた





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