第13章 彼の誕生日と
「ぐぐぐぐ偶然だね赤司君!」
「覗き見とはまた悪趣味なことをしているね」
『いや、こんなとこで誕生日プレゼントを渡したあたしにも非はあるよ』
「…何も見ていないのだよ」
「わ、私も見てないからね!」
『見てたんだね紫原は?』
「赤ちんに用があって着いて行って後ろから抱き締められてるとこから見たー」
『最初からじゃん!』
「はー、お菓子無くなる前でよかったー」
周りにカップルが出来たり出来なかったりで男女の関係に盛り上がる年ごろだからしょうがないかと溜め息を吐く
見られていたことは恥ずかしいが過ぎ去ってしまったものは仕方がない
「とりあえず戻れ、帰るなら一緒に着替えに行こう」
「「はーい」」
青峰がいないのはテツヤと練習しているからだろうかなんて3軍の体育館を想像しながら征十郎を待っていると、先ほど渡したばかりのマフラーを手に持って現れる
「つけてくれないか」
『…へい』
彼からマフラーを受け取り、彼の首に巻きつける。おしゃれな巻き方なんてできないのでシンプルな巻き方だが、彼に良く似合っていた
『誕生日おめでとう、征十郎』
「…ああ、ありがとう」
少しはにかみながら、嬉しそうに返事をする征十郎は表情を隠すようにマフラーに顔を少し埋めた