第13章 彼の誕生日と
そんな出来事から数日、征十郎の誕生日がやってくる。誕生日と言っても練習があるため、帰りに渡そうと思っていた
そして最近新たな噂が流れている。「赤司と苗字は付き合ってなかった。別の彼氏がいるらしい」と
なぜそんな噂が流れたのかは情報源は知っているし、否定をしているにも関わらず広がる噂をどうすればいいのか、頭を悩ませている
『はあ…』
練習終了後、今更噂の事実確認してくる人はいないが征十郎を待っていると自意識過剰かもしれないが視線が痛かった
仕方なく征十郎を待つため外の階段に座り込み、あの時のように少量の雪がチラホラと落ちてきているのを見ながら息を吐く。真っ白く染まった息が消えていった
『上着来てくれば良かったかなぁ…』
今身に付けている防寒具はマフラーのみだった。さすがにこの寒さの中で待っているのはキツいと考える
だがだからと言って中で待つのも視線があるし、3軍の体育館でもいいかもしれないが頑張っているテツヤの邪魔をしたくない
どうすれば良いんだか。と独り言を呟き空を見上げる。その直後、頬に熱さを感じた
『あっつ!誰!』
「くれてやるのだよ」
『…緑間、なに?え、おしるこ?』
別に甘いのは苦手ではないし、暖かいものが欲しいから万歳なんだけども
ああ、緑間はおしるこ好きなんだっけと、熱々の缶を受け取った
『ありがとう。もらうね』
「赤司の誕生日だから待っているのか」
『知ってるんだ。おは朝信者だもんね、知ってて当然か』
「オレは自主練に戻る。体を冷やさないようにするのだよ」
『サンキューオカン』
「オレはお前のお母さんではないのだよ!」
ケラケラ笑っていると緑間は去っていく
でもあの心配の仕方は世に言うお母さんみたいだろうと考えながらプルタブを取り、おしるこを飲む
『甘っ、しかも熱い』
とりあえずとおしるこをゆっくり飲み、小豆が最後に残るんだよなぁと缶の底を叩いてからゴミ箱に捨てた