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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第45章 里帰り$


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向かい側の部屋から様々な匂いが漂ってくる。

天狗の面を外し、床についた鱗滝は睡魔に誘われる前にその匂いに気付いた。



羞恥に恋慕。

遥か昔に思いを捨て、いつしか忘れていた匂いだ。



誰が推し量れようか、私のような若輩者(じゃくはいもの)が高嶺の華に触れようなどと…

彼女は今と変わらず、美しかった。



誰もが彼女を欲するほどに。

けれどもそれは許されない。

それが掟だったのだ。



施術を受けたのはただ一度。

明治三年のことだった…




当時、水柱として任務にあたっていた私は下弦の鬼を満身創痍で撃破したのだ。

鎹鴉から担当地区が近かった当時の炎柱である、煉獄苑寿郎(えんじゅろう)が彼女を藤の屋敷から呼び寄せてくれたのだ。

彼女は部屋に入るなり、恭しくお辞儀をし、私にこう告げた。

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