第44章 薄氷$
「ごめ…なさい…」
正直を言うと自分でも何故こんなことに拘っているのか分からない。
だが、俺の知らない所で白藤が不死川と一緒に居たのがどうしても嫌だったのだ。
それから彼女の顔を見られなくなった。
露骨に態度に出ていたであろう事は自覚していた。
「………すまん」
こいつばかりに苦労をかけてしまう。
用意した布団に白藤を運び、寝かせる。
その隣に潜り込んで横になる。
人とは違う、少しひんやりと冷たい体。
頭を撫でてやると、気持ち良さそうに表情を緩めた。
「ん?」
人肌が恋しいのか、白藤が冨岡にすり寄ってくる。
その頬に優しく口付けて、そのまま眠りにつくつもりだった……