第44章 薄氷$
壁に凭(もた)れ、白藤は寝たふりを決め込んだ。
「眠ってしまったか…?」
やけに薄い湯着を着ている。
まるで湯屋使えの娘のようだ。
それに…
最近、隊服の下に着ていた下着も着けていないようだ。
所々、肌が透けている。
冨岡は白藤が起きていることに気づかない。
「………」
布団に運ぶにしても……
触って良いのだろうか?
髪がまだ濡れている。
このままでは風邪を……引くのか?
鬼は…?
真偽は分からないが、とりあえず手拭いを使い、白藤の髪を拭いてやる。
色こそ白いが、艶のある髪。
整った顔立ちに風呂上がり特有の肌の赤みとシャボンの香り。
「……なさい」
寝言か?