第4章 遊郭潜入大作戦$(冨岡裏)
「……」
そのやり取りを遠巻きに見ていた白藤は。
宇髄が悪い男に見えて仕方なかった。
「じゃあ真ん中の子を貰おうかね。素直そうだし」
「一生懸命働きます!」
炭子就職決定。
ざり。
今度は店の旦那の前で躓(つまず)くふりをする白藤。
「すみません…」
白藤を見て、ポッと今度は旦那が頬を染める。
「ちょっと、待っておくれ」
「……私、ですか?」
ちらり、と白髪を隠すようにしていた白藤と目が合った女将が声をかける。
目利きの琴線に触れたのだ。
「そう、アンタだよ。えらい別嬪じゃないか。アンタもその人の連れだろ?兄さんこの子付けてくれたら金貨五十は払うよ!」
「そうかい。悪いな白藤……」
「ううん。謝らないで兄さん。私ここで働く。うんと稼いで兄さんにきっと恩返しするから……」
「そうか。俺は立派な妹を持って幸せだ」
即興で一芝居うつ二人。
「女将さん、旦那さん。今日から宜しくお願い致します」
「いい話だ……」
「アンタ、今日から早速店に出ておくれ!名前は?」
「はい、白藤と申します」
このまま客を取れれば、中からも外からも情報を聞けるようになるだろう。