第72章 乞い願う、光を求めて
「…………」
術師は居なくなった……けれど、炭治郎は人に戻れるのだろうか……
「水柱。炭治郎を鎮めるならば、鬼の始祖である私の頸を斬れば良い」
「舞山様……?」
「白藤。最後にお前に会えて良かった」
鬼舞辻の頸。
鬼の始祖、鬼舞辻の頸をはねれば、全ての鬼が滅ぶ。
これで、炭治郎は人に戻ることが出来る。
だが、白藤は?
「一つ、聞きたい……お前を斬っても白藤は……」
「ふ……白藤は私の血で鬼にした訳では無い。だから、私が死んだとて問題は無い」
これで、終わる。
我ながら、悪くない最後だ。
舞山はその場で目を閉じる。
「そうか……」
皆、鬼舞辻無惨を恨んでいた。
けれど、今この場にいる男は舞山であって、俺たちの知っている無惨では無い。
存外、人であった頃はそんなに悪い奴では無かったのかもしれない。
白藤のことも、大切に思っていたのだろう。
情けをかける訳では無いが……
「水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨」
敵意がない敵に放つ技で冨岡は無惨の頸を斬り落とした。