第72章 乞い願う、光を求めて
「貴様!」
「お前のような化け物に用はない……」
まるで氷のように冷ややかに、冷淡に言い渡された侮蔑を含んだ物言いに、さしもの術師さえ息を飲んだ。
蛇に睨まれた蛙とはよく言ったもので、道満はかつての仇敵、安倍晴明と対峙した時のような緊迫感に襲われる。
このままでは、確実にこの男に殺される……
ただの人間相手に何故私が戦(おのの)かなくてはいけないのだ……
呪いの様に何年も時を超えて、今まで生きてきた。
命の危機に関わる恐怖を感じたのは、それこそ平安の頃以来である。
許さない、許さない……!
この様な仕打ちが、まかり通ってたまるものか!
頸だけの道満が再び口を開こうとしたその時、額に札を貼られて彼はそのまま灰となった。
自我を取り戻した舞山が、道満を修祓(しゅばつ)したのだ。