第72章 乞い願う、光を求めて
その光景をぼんやりと眺めていた善逸は冨岡が放った技が、那田蜘蛛山で炭治郎が使用したものと同じだと音で悟った。
水柱が使うと、こんなにも流麗なんだな。
でも、何でだろう……
こっちにも分かるくらい、悲しみが伝わってくる。
斬った側の、水柱の心が泣いている様な……
ドサっ。
「炭治郎!!」
「ぐぅぅ……」
その場にくず折れた炭治郎に禰豆子とカナヲが駆け寄る。
「しっかり!!お兄ちゃん!!」
「……ね、ずこ?」
良かった、炭治郎が人に戻った。
「お兄ちゃん……!!」
「良かった……」
禰豆子もカナヲも眦(まなじり)に涙を溜めながら、喜んだ。
「……無惨は?」
「舞山の頸は俺が斬った……」
「義勇さん……すごい、です。……でも、何で皆そんなに……暗い顔、なんですか……?」
ドキリと胸がざわつく。
まさか、無惨と一緒に白藤さんが……?