第72章 乞い願う、光を求めて
夢物語を聞いているような話だと思った。
けれども、何故だか自分の中に違和感があって。
立ち上がれないし、食欲もわかない。
人の身としてはおかしいのではないかと……
ただ体の奥が燻っているようで……
疼いてもどかしい。
「何か好物はあるか?時期的な物でなければ用意出来ないものもあるかもしれないが、可能な限り……」
「下さい……」
「すまない、聞き取れず……もう一度」
「抱いて、下さいませんか……?」
「………それは、どういう……?」
「私と……交合して下さいませんか?」
「…………交、合?……もしかして、金が無い代わりに体で支払うとでも言うつもりか?」
渇く。
喉が渇く様な感覚で、私は本能的に性を欲した。
自ら着物を乱し、胸を晒す。
「貴方が欲しくて、堪らないのです……」