第72章 乞い願う、光を求めて
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薄ぼんやりとした意識の中で最初に見えたのは何処かの屋敷の天井。
「目が覚めたようだな」
「………だ、れ?」
燃え盛る日輪のような瞳に、金糸の髪。
毛先は真紅に染まっている。
隣に座した彼は諭すように、優しく問いかけてきた。
「私の名は煉獄盛寿郎(せいじゅろう)だ。君の名前は?」
名前……?
「白藤……」
「そうか。ずっと目を覚まさないから、心配していた」
額に添えられた手が暖かくて、ほっと息をつく。
「俺は鬼殺隊という組織で炎柱を任されている」
「き、さつ……?」
「人を喰う鬼を倒す組織だ」
「鬼……?」
「耳慣れないのも無理はない。まだ組織が出来てから三月も経っていないからな」