第72章 乞い願う、光を求めて
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その後、舞山も道満の策略に嵌り、宴席で男色の高官に襲われた。
肉体も精神も闇に染まり、遂に舞山は薬師を殺す。
その夜、媚薬の熱に浮かされ悶える白藤を恋情の赴くままに抱き、彼女を穢した事に激しく後悔する舞山を道満は満足気に眺めた。
陰(いん)に染まりきった彼を鬼に変貌させるのは道満にとっては容易いことであった。
名を変え、鬼の始祖となった鬼舞辻無惨を道満は宿敵、安倍晴明を打ち破るための切り札として育てることを決めた。
強く、気高く、残忍な鬼は、この時から始まった。
「鬼?それは私の事か?」
返り血を浴び、真紅に染まる指を舐めあげながら無惨は笑う。
ならば鬼らしく、私はどこまでも堕ちていこう。