第72章 乞い願う、光を求めて
$$$
二日後。
体調の回復した白藤は白くなった髪を隠すため、髪に布を巻いて家事をこなしていた。
この頃はまだ、日中でも肌が焼けることは無かったので、人目に気を付けてさえいれば、日中でも活動出来ていた。
白藤が市へ買い物に出かけた時、一人の男に出会った。
「そこの娘さん」
「私、ですか?」
笠を被って錫杖を握りしめているのを見る限り、男は修験者なのであろう。
「何かご用でしょうか?」
「少し、道を尋ねたいのですが……」
「道ですか?どちらまで、行かれるのでしょうか?」
「貴船の山の水神様を拝んでから、県境の山寺へ行きたいのですが、何ぶん土地柄が分からず……貴船はどちらでしょうか?」
「ここから貴船ですか……あら?」
会話をしていたのは、市のはずだったのに、二人以外の人はいつの間にやら居なくなっていて。
得体の知れない気味の悪さを感じて、白藤は一歩後ずさった。
「どう、なさいました?」