第71章 向かう白、揺蕩う藤色
宇髄達がわいわいと騒いでいる間、上弦の壱との死闘を終えた冨岡達は小休止がてら各々腰を下ろした。
「義勇さん……」
「心配ない。俺より不死川達の方が怪我が大きかったはずだ……」
「傷は白藤の血鬼術のおかげですぐ塞がった。心配ねェよ」
気遣わし気な視線を寄越す白藤に珍しく冨岡と不死川の二人で対応する。
普段はそりの合わない二人を身近で見ている柱たちにとって、それはとても貴重な場面だった。
「ねぇ、玄弥。今日、雪でも降るんじゃない?」
「は?無一郎ってたまに変なこと言うよな」
無一郎の発言に悲鳴嶼は静かに頷いていた。
「それはそうと……これからまた離れて城内を見て回るんですか?」
白藤の疑問にいち早く返答したのは不死川だ。
「上弦は琵琶の鬼以外撃破している筈だからなァ、次あたり鬼舞辻と当たるかもなァ?」
「鬼舞辻無惨は、何としてでも、仕留めなければならない……」
「悲鳴嶼様?」
「御館様の意志を無駄には出来ない……」
そう、先程。
鴉の伝令で耀哉の死を告げられたのだ。