第71章 向かう白、揺蕩う藤色
だが、相手は鬼の始祖。
歴代最強とされた始まりの剣士、継国縁壱ですら、仕留めきれなかった鬼。
今代の柱達が強いのは認めるが、彼等は優しいが故に鬼舞辻を最後の最後で仕留め切れないかもしれない。
そうなった時、どうすれば……
「白藤。大丈夫だ。お前は俺たちが護る」
「義勇さん……」
私も、護りたい。
こんな私を受け入れてくれた、鬼殺隊を。
そして、隣で笑ってくれる義勇さんを。
私の力で救えるのなら……
「そんな、顔すんなァ」
「不死川様……」
「全部終わったら、皆で美味いもんでも食いに行きゃ、良いだろォ?」
「はい……」
皆の中に『私』が居ても良いのだと。
こうして声に出してくれる人がいる。
私は今、恵まれている。
この暖かな居場所が恋しくて仕方がない程に。
「皆さんと色んな場所に行ってみたいです、私も……」
「鬼のお前が、人と暮らせると思っているのか…?」
振り返ったが、誰も居ない。