第71章 向かう白、揺蕩う藤色
「おい、こら小童!!甘露寺に向かって牛女とは何だ!!」
「牛みたいに乳揺らして走り回ってるからだろ!!」
「牛……」
何度目かの牛発言にしょげ始めた甘露寺を見て、伊黒が声を張り上げる。
「黙れ、小童!!甘露寺は……魅力的な女性だ!!」
「伊黒さん……///」
私が……魅力、的?
伊黒さんから見て……てこと……!?
見る見るうちに甘露寺の顔が火照っていく。
甘露寺の表情を見て、自身の発言の重大さに気付いて赤くなる伊黒。
「はあ」
愈史郎は大きなため息を一つ吐いた。
「……鴉に俺の目隠しの札を貼って視力を共有して気づいたことがある」
「目隠しの札?」
「これだ。この札を身体の何処かに貼れば、相手からは自分の姿が見えなくなる」
「へー、便利ね。それで?」
「お前たち鬼殺隊の鎹鴉がそこらを飛び回って教えてくれた。琵琶の鬼は……」