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鬼滅の刃R18 藤の花嫁(冨岡夢)

第70章 咲くは朱なれど散るは白


あぁ、そうか。


「真に私を殺すに足る男はきっと、お前の様な男なのだな。水柱、貴様の名は?」

「……冨岡義勇」


無惨と冨岡の睨み合いに、炭治郎が割って入ろうとするも……


「ぎ……」

「竈門少年。手出しは無用だ」


肩に乗せられた手に、行く手を遮られてしまう。


「煉獄さん……」

「竈門少年、今は見守ろう」

「そうだぜ、竈門。割って入れば火傷じゃすまねぇぞ」

「宇髄さんまで……」

「しっかしまぁ……あの冨岡がねぇ……」


随分と、変わったもんだ。


周りの雑踏を意にも介さず、無惨はただ冨岡の思念を読み取ろうとする。


この男が今の白藤にとって大切な者であることは分かっている。


だが、私の事を思い出し、声をかけてくれたのも、間違いなく彼女だった。


白藤。


未練がましいが、お前と離れたくないと胸の奥が悲鳴を上げるのだ。


こんな感情は鬼となった時にとうに捨てたはず……


「私を殺せ、冨岡義勇。……この因果を断ち切ってくれ」


そう言った無惨の瞳は、今までで一番人間に近いものだった。


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