第70章 咲くは朱なれど散るは白
白藤。
お前はちゃんと自分の居場所を見つけたのだな。
ザンッ。
こうして、鬼舞辻無惨も、その裏で暗躍していた蘆屋道満も打ち倒した。
長い長い夜が、ようやく明けたのである。
「炭治郎ー!」
「善逸、こっちだよ!」
負傷者続出の鬼殺隊は蝶屋敷、並びに藤の家紋の屋敷にて静養が決まり、回復に務めている。
激戦をくぐり抜けた柱達に死者が出なかったのは、未だに目覚めない彼女のおかげなのかもしれない。
「白藤……」
冨岡が白藤の手を握る。
握り返されることも無く、特に変化は見られない。
それでも毎日、彼女の元へ通うのが日課になっている。
「いい加減、寝すぎだぞ?」
声掛けにも反応しない。
それでも……
柱たちと炭治郎の体に刻まれた藤の紋様は未だに消えない。
それはまだ、彼女が術を発動し続けている証。