第70章 咲くは朱なれど散るは白
蘆屋道満の亡骸はさらさらと徐々に灰になっていく。
潔く、両手を広げた鬼舞辻無惨を前にして、柱たちは刀を下ろした。
もう正直、戦う気力が無い。
無限城に来てずっと宿敵であるこの男を追いかけてきた筈なのに、この男の過去を紐解いて、最悪であるのは鬼舞辻ではなく、蘆屋道満であることに辿り着いた。
数々の痛手を受け、蘆屋道満を倒した今、鬼舞辻無惨を殺すのであればこの機会を逃す訳にはいかないのだが……
「お前は、死にたいのか……?」
「冨岡……?」
「俺は、白藤を鬼にしたお前が許せない……」
このまま鬼舞辻無惨を殺してどうなる……?
白藤は……
「お前を殺したら……、白藤は目を覚ましてくれるのか?」