第70章 咲くは朱なれど散るは白
「私だって戻れたんだよ!!それはお兄ちゃんが最後まで諦め無かったからだもん!!」
禰豆子はボロボロと大粒の涙を流しながら訴えかける。
「それは……」
「私だって、いつ殺されてもおかしくなかった!でも、それを守ってくれた!お兄ちゃんも……冨岡さんも……そのおかげで、私は今、ここに居るの……」
誰よりも、禰豆子自身が痛感している。
変わらない兄からの愛情と支えてくれる人達からの信頼を。
だから……
「今度は私がお兄ちゃんを人間に戻す!それまで絶対に諦めない!!」
揺るがない意志を宿す瞳を見て、その場の皆が禰豆子の姿に炭治郎を重ねる。
この兄妹は……
愚かな程に、純真で、真っ直ぐで。
「ごめん、カナヲちゃん。俺に禰豆子ちゃんは斬れない……」
それに比べて俺は、なんて情けない……