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鬼滅の刃R18 藤の花嫁(冨岡夢)

第70章 咲くは朱なれど散るは白


ただ……


相手はあの炭治郎である。


嘘が苦手で、何事にも真っ直ぐで。


妹を人間に戻す為に鬼殺隊に入隊した彼が、そう簡単に鬼になるような、意思の弱い人間ではなかった。



「何でだよ、炭治郎!!」



善逸は叫んだ。


泣きたくなるくらい、優しい音のしていた彼の心が揺れる何かがあったのならば、それはきっと……


彼女と、白藤と関わりがあるのだろう。


善逸は炭治郎の想いを知っている。


勝ち目がないと分かっていても、どうしても彼女が好きなのだと言っていた。


炭治郎の言葉には嘘がない。


だから……


白藤さんを斬らなきゃ、炭治郎はきっと戻って来ない。


善逸はそう思った。


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