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短編ごった煮

第2章 焦がれてたのは私だった/アニス(TOW2)


昔々に読み聞かされた絵本の一つ。ディセンダーのお話。
世界の平和が乱れる時、世界樹から生み出されて世界を救う救世主。平和へと導いたディセンダーはやがて世界樹に戻り、そして世界を優しく見守る。ハッピーエンドで終わるありきたりな話。
そんなおとぎ話だったはずのものが現実になり、彼女は……ななしは現れた。この世界のディセンダーとして。
彼女はおとぎ話の筋書きを辿るように、この世界に平和をもたらし、……おとぎ話の結末と同じく世界樹へと戻ってしまった。

世界樹が生み出したものだとしても、確かに彼女はここにいたのに。私たちと変わりない姿で、私たちと変わりないように、笑って、泣いて、怒って、困って、悲しんで、また笑ってくれたのに。

おとぎ話は「めでたしめでたし」と常套句で終わるけれど。
これのどこがハッピーエンドなのだろうか。
私たちの大事な仲間が一人消えてしまったのにどうしてめでたしなんて言えるのだろう。

彼女が再び私たちにまみえることこそが、最高のハッピーエンドと言えるはずだろうに。

「言ったじゃん」

ぎゅっと小さく拳を握る。
帰ってくるから、とそう約束をして出て行った彼女の背中を思い出しながら。

「だから、」

また、私はななしの笑顔を見たいの。

「あんたを待ってるのに……」

私に会えなくて寂しかったでしょ、なんて冗談を言ってまたななしと笑いたい。

ぼんやりと霞む景色が、その先にある世界樹が。
ゆらゆらと揺れて、途方もなく悲しくなった。

「早く……帰ってきて、ななし」





焦がれてたのは私だった
(けど強がりの私は)
(会いたかったでしょ?なんて聞いてしまうんだろう)
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