第2章 焦がれてたのは私だった/アニス(TOW2)
また一つ、今日も太陽が沈んだ。
船の縁にもたれながらこれを数えるのは何度目になるのか。いち、にぃ、さん、と記憶が続くかぎりを数えていって、さんとじゅうを言い終えたところで止まった。
――ひとつ月が変わる。それだけの時間が過ぎていたのだと沸き上がらない実感の中思う。
一月しか。
あるいは、一月も。
どちらを言えばいいのだろう。
そのどちらとも当て嵌まる気がした。
「……一月、だよ。早く帰ってきなさいよね」
届かないと分かっていながらも一人ごちる。穏やかに吹く潮風が言葉をさらって、世界樹に流れればいいのに、と小さく頬を膨らました。
分かってる。今、なにをやったって、彼女が私の声を聞いてくれないことなんて。
この世界を救い英雄となった彼女は、その全てを世界樹の一部としているのだろうから。
「ななし……」