第15章 私が望む君の好き/那月(うたプリ)
好き、大好き。彼のことが。
それは紛れもない思慕で、恋情で、恋心で。
私は彼に恋してる。
そういう意味で大好きだ。
だけれど、彼が私を大好きなのは、私が『可愛いもの』だからで。
私だから、ではない。
同じ大好きでも、そこに隔たる壁はどこまでも高い。
高すぎて、ついつい、本音を誤魔化してしまう。
冗談めかせて、適当に言って、好きの気持ちに蓋をして。
大好きと言われて本当は顔が赤くなっているくせに、なんでもないような顔をして。
もう少し勇気があれば、度胸があれば、強ければ、「君が好き!」と本当のことを心の底から言えるのに。
勇気も度胸も強さもない私は、ただ、ただ、望むだけなのだ。
彼の大好きが、私のものと一緒だったらいいのにと。
そう望みながら、軽い調子で、なんでもないように、ぎゅーと抱き締めてくる彼に私は笑う。
「なっちゃんのこと、大好きだよ」
と。
本音を隠して。でも、本当のことを。
私が望む君の好き
(できれば、君も、私とおんなじ好きをください)