第13章 寝過ごしの彼に××を/銀時(銀魂)
夕暮れも夕暮れ。お日様がほとんど見えなくなって燃えるように真っ赤だった空もその勢いを落として薄暗い赤に染まり出した今現在。
腕組み+仁王立ちスタイルの私の目の前には、就寝時間にはいささか早いと言うのにんなこたァ知るかと言わんばかりにあほ面を晒してソファの上で寝こけていやがるあほんだらこと坂田銀時がいる。
今日は久しぶりに一緒に飲む約束をしていたので、少々浮かれ気分で待ち合わせ場所に行ってみれば時間になっても来やしない。一時間待って痺れを切らしてこうして家に来て見れば、神楽ちゃんも新八君もいないのに無用心にも玄関に鍵もかけずにぐーすかなこのざまだ。ああ、そうだ。この人はこういう人だった。
銀さんの優先順位は私との約束よりも惰眠の方が上なのだ。
久々にじっくり話し合えるなんて浮かれてた自分が馬鹿らしいったらありゃしない。
一つ大きくため息を吐く。起きてくれるかもしれないと少しの期待を込めて大袈裟にやってみたものの無意味だったようだ。身じろぎひとつしやがらねぇ。
今度は舌打ち。当たり前だ、畜生め。薄情め。天パめ。
内心は毒吐きまくりなのに、それでもしっかり銀さんの寝顔を目に焼き付けている。そんな自分がちょっぴり恨めしい。
だってしょうがないじゃない。惚れてるんだもの。
こんなんでも一応、好きなんだもの。
あほ面だけど、寝顔見れてラッキーとか思っちゃうものなんだ。今のうちにたっぷり見なければとなけなしな乙女心が騒いでいるのだ。
ただでさえ普段私が銀さんを見てるとキモいだのウザイだの何だのと口さがなく言ってくるんだから。まあ売り言葉に買い言葉で私も天パだのマダオだの駄目人間だの天パだの天パだの天パだの言ってるんだけど。
じっくり顔を眺めて(危ない人じゃない。私の行動は決して危ない人じゃないはずだ……!)少しだけ髪に触れてみた。見た目はくりんくりんでぐりんぐりんだけど思ってたより柔らかくてびっくりする。
たかたがか髪を触るだけでびっくり発見するだなんて私。
普段どれだけ銀さんに触れてないんだ。
また一つ、ため息。