第12章 どうか私と貴女に永劫の別れを/エミリー(ウィルオ)
『エミリー』
……ああ、ななし様が私を呼ぶ声が聞こえてくる。だけれど、それはまやかしと同等のもの。私の記憶に刻まれたそれでしかないもの。今や ななし様が口にする名前は私一つだけではないのだから。全てはあのカギを見つけて始まった。そして同時に、私とあの方の日常が終わった。
次第に増えて行く人形。私と同じ、しかし決して同等のものではなかった彼ら。
ななし様のお側にいたい、悲しい顔などさせたくない、そんな一種の執念によって人形となった端から脆い存在だった私と違い、彼らはマスターを失わない限り眠りにつくことのない特別な人形。
いつ消えてしまう日がくるかも分からない私は、それでもその日がくるまで二人で生きていけるのだと、ななし様には私しかいないのだとどこか安心していたのかもしれない。
だからこそ、その安心は音をたてて崩れているのか。
「私などいなくとも」
彼らがいるのだから。
私と違い、いつまでも消えることなく側にいられる人形たちが。
ななし様を一人にさせたくない、笑顔を見たい、そのために側にいたい。それが私が人形としている理由。それだけが私が人形としている理由。
ならば、その理由がなくなってしまえば?
私がいなくとも彼女には彼らがついている。私がいなくとも彼女はもう笑顔でいてくださる。私、が、いなくとも……。
「ななし様はもう、一人ではないのですね」