第11章 それでも彼女が笑うなら/ゲン(ポケモン)
「本当に、君はルカリオのことが好きなんだね」
呟きにも似たそんな言葉を漏らせば、彼女は一瞬ぽかんとした顔をして。そしてまたにっこりと私に向かって笑う。
「はい、大好きです!」
その言葉が、私にたいしてのものだったらどんなによかっただろうか。
そんなことを考えてしまっている自分に気付き再び自嘲。関係を壊したくないと思っている反面、こんなことを思ってしまうのはもう時間の問題だということか。
どうすればいいのかと悩むなど不甲斐ない。そんな自分も世界さえ否定してみたくなって、ふと瞼を落とす。
「でも、ゲンさんのことも大好きですよ!」
「っ」
願ってもない言葉が聞こえばちりと目を開ける。幻聴ではないか。
私の願望だったのではないか。希望と不安をないまぜにしたような感情をすぐに払拭させたのは、紛れも無い彼女の笑顔。
それは誰でもない私を確かに見ていて、再度大好きですと臆面なく言葉にする。
「……私もだよ、 ななし」
本当はすぐにでもかけよって抱きしめればよかったのかもしれない。
けれど、好きだと言う言葉が彼女と私の間に差異のあるものだったらと考えたらそう微笑みかけることしかできなかった。
ああなんて臆病たるものか。
それでも彼女が笑うなら
(もしかしたら私は臆病者のままでいいのかもしれない)
(このままの、関係で)