第9章 いつの間にか/沖田(銀魂)
沖田さんの言葉を理解することはできた。
私が助けてもらったからには「それなりの仲」じゃなくってしまったことも。
そして助けられたことによって「恋人とか」に分類されてしまったのだと案にそのことを言いたいだろうことも。
「……でも、それ飛躍しすぎじゃないですか。私が言った言葉には「とか」が含まれていましたよ」
「ん~?そうでしたかねィ。いけねぇな、どうやら耳が遠くなっちまったようだ」
「そうですか。じゃあ耳が遠いついでに今すぐ私から離れて遠くに行ってもらえると嬉しいです」
「あーあーあー、耳が遠すぎて何も聞こえやしねぇや」
「嘘つけ!絶対聞こえてるでしょう!離して!今すぐ私を解放して!!」
じゃないと心臓爆発する!
今までにないくらい稼動している心臓に私はどうしようもなく戸惑った。
なのに、沖田さんはそれを労ることなくむしろ更に暴走するするんじゃないかと思うようなことを言うんだ。
「何言ってるんですか。恋人同士なら、こうやって抱きしめ会うのは当然のことですぜ?ねぇ、ななしさん」
あ、そこで名前呼ぶのってずるい。
ただでさえ赤くなっているであろう顔がそれ以上に赤くなるのを感じつつ、それでもこの状況に決して不快感を抱いていないのに気付いて。
それが何故だなんて分からないほど馬鹿じゃないし子供でもなかった。
けれどいつまでもこうしているのも少し困る。
「沖田さん、いくらなんでもこんな公衆の面ぜ……」
きっと無駄に終わるだろう。
そう思いつつも沖田さんへと向いて言おうとしたはずの文句は、口を塞がれたことによって封じられてしまった。
他でもない、沖田さんのその口によって。
「っ……!っ!?」
「俺ァ亭主関白でありたいんでィ、ななしさんの意見なんざ受け入れやせんぜ?」
そう言ってニヤリと笑う沖田さんに、私は何も言えずただ顔を赤くさせるだけだった。
知らない間に
(私は沖田さんに好かれていたらしい)
(……私も、沖田さんのことが好きだったらしい)