第3章 初めはそんな出会いだった/ダークライ(ポケモン)
驚き、体が固まる。そして、ふと、昔のことが頭を過ぎった。あれはまだ、誰かが理解し寄り添ってくれるのではないかとそんな期待を胸に秘めていた時。
去って行く人々に、ポケモンに、全てのものに、「逃げないでくれ」とそう懇願していたことを。
誰一人として、その願いを聞き入れてくれた者などいなかったが。
その度にからからと音をたてて崩れていった期待や希望を今の私はもうかけらも持っていなかった。
一度もこちらを振り向かず去って行く背中の寂しさだけが、私のうちに残っている。
(もし私が逃げてしまえばこの少女もあのような気持ちになるのだろうか)
それは、なんだか嫌だ。
後ずさることを止めた私に、少女はほっとしたような表情をみせる。そして、小さくありがとう、と。それは知らず知らずのうちに漏れた言葉なのか。ゆっくりと、確かな足どりでこちらへと向かってくる少女に、いまいちどう反応すればいいのかはかりかねる私は結局何をすることもなくただそこに立ち尽くすだけだった。
初めはそんな出会いだった
(私はそれを奇跡と呼ぼうか)