第1章 協奏曲 ─concerto─
智くんにすっかり主導権を握られてしまったジャグジー…
このままじゃ男が廃る!
そんな言葉、今時流行らないか~?
でも、一回抜いてもらったし…心も身体も少し余裕が出来た。
ホテルの名前の入った大きなバスタオルで身体を拭いて、それを腰に巻いた俺…
「智くん…部屋に入ろ?」
「ん~…」
「…智くん?」
真っ赤に上気した顔の智くんは、何だか目も虚ろで…
儚げな笑顔を俺に向けた。
「… …えっ!?」
のぼせたんだ!!
俺より先に湯船に入って、入りっぱなしのまんま俺のを咥えて…
「智くん!大丈夫??」
「…う、ん…らいじょ、おぶ…らよ…」
大急ぎで彼を抱え上げ簡単にタオルで身体を拭いた。
半分朦朧としてるくせに、しっかり真ん中おっ勃てて…
ったくさ///
大切にタオルで包んだ身体を抱き上げ、何とか部屋へと続く狭い階段を下り、そっとベッドに横たえた。
「智くん…水…」
ミネラルウォーターを近付けても、飲めないのか…?
俺はペットボトルを仰いで水を含み、そのまま智くんへ口移しに流し込んだ。
それを何度か繰り返し、冷たいペットボトルを首筋に当てて冷やし、部屋にあったしおりで彼を扇いだ。
「……智くん…」
「………」
暫く続けていると赤かった顔が、徐々にいつもの顔色に戻って来た。
「…よかった…もう大丈夫かな?」
今度は冷えちゃいけないから、引き出しから持ってきた真っ白なバスローブを掛けてやった。
すると、俺の手首をぎゅっと掴んだ智くんは、
「もう一回、お水、飲ませて…」
と言った。
「あ、うん…いいよ…」
俺は、ペットボトルを手渡そうとして、じっと見つめる彼の瞳に気付いた。
………
その瞳に吸い寄せられるように、口に含んだそれを、ゆっくりと智くんへと送り込んだ。