第1章 協奏曲 ─concerto─
「早くぅ♡」
「ったく…ガキかよ~」
そう言いながら、智くんの脱ぎ散らかした服を拾い集めてカウチに置いた。
その間に、気持ちを沈めようと試みたけど、無理で…
っていうか、拾った彼の服から、ほのかな体温を感じて、俺は増々彼の思う壺状態になった。
「翔ちゃん!早くってば!」
そう急かす彼を見ると、まあるいお尻がぷかぷかとお湯に浮んで揺れていた。
………ダメだ、こりゃ///
覚悟を決めた俺は、しょうがね~な~、なんて言いながら、カウチでゆっくり服を脱いだ。
彼に背中を向けて全裸になると、ゆっくりと湯船に沈んだ。
もちろん、タオルで前を隠しながら…
さり気無く…気付かれないように…
幸い、ジャグジーの泡のお陰で、下半身はよく見えないだろうし。
「あ~、温度も丁度いいね!…マジ、気持ちいいわぁ~」
「…んふふふ…でしょお~?」
そう言いながら、ワニのように底を這いながら俺との距離を詰める智に、俺は思わず生唾を飲んだ。
さり気無く、縁に凭れて脚を組んで、何てことない顔をして見せたけど…
近付いてきた智くんはニヤ付きながら、肌が触れるくらいまで来ると、
「なんで、隠すの!?」
と、徐に手を伸ばし、脚の間に押し込めようとしていた俺の『おれ』を鷲掴みにした。
「あんっ♡」
不意打ちを食らった俺は、とんでもない声で反応してしまい、それを見た智くんは、満足気な笑みを溢した。
……この状況でなんだけど……天使かよっ///
「……」
そのまま何も言わず見つめ合った俺たち…
「やろ、っか?」
智くんはそう言いながら、親指の腹で人質にとった『おれ』の尖端をくるくると撫でた。