第4章 止められない感情
「全部お兄ちゃんのものだよ。心も全部」
首筋に残る痕はきっと橘に対しての宣戦布告かもしれない。
私は兄の首に腕を回しギュッと抱きつきながら言った。
「柚」
兄も強く抱き締め返してくれる優しさに胸が強くおしつぶされそうになる。
ーーやめよう。橘との関係を。
何を言われても脅されても断らなくちゃ。
このまま兄を苦しめ続けるのは辛すぎるから。
大好きな人が悲しむ姿を見たくない。
「…大好きだよ、お兄ちゃん」
兄を見つめながら潤んだ瞳でそっと囁く。
ーー私の心は昔も今も何も変わらないの。
ずっとお兄ちゃんだけ。
お兄ちゃんしか愛せないのーー。
さっきまで荒々しかった口付けが打って変わって甘くて蕩けそうなキスに変わる。
「ぁ…っん、ふ」
舌と舌が絡み合って、互いの気持ちを確かめ合う。
濃厚な口付けの後唇がゆっくりと離れれば、
あには私を優しい眼差しで見つめながらこう言った。
「好きだよ柚。誰よりも愛してる」