第1章 俺が彼女を好きになる迄の話。
「た、炭治郎、どう思う?」
「う、うーん。色事をする印象は無いけど…。
はとっても優しいからなぁ。」
「まあ、可愛いよねぇ…。」
「珍しいな、鼻の下を伸ばさないのか?」
「…ちゃんの音…。あんり聞きたく無いんだよ俺。……胃が…こう…ぎゅ。となるんだ。」
そんな珍しい善逸を横目に見ながら伊之助への説明を早々に諦めた俺はそのまま3人に別れを告げて岩柱亭へと足を進めた。
「……。(ほら、まただ。)」
俺が屋敷の門の前で足を止めたのは、先程の話の原因が玄関付近で起こっているからだった。
「実弥さん…。またこのお店の方面だったんですか?やたらと鬼が出るんですね、この地方。」
可愛らしい桃色の包みをに渡しているのは紛れもなく俺の兄だ。
「あァ、たまたまなァ…。日持ちしねェから
早めに食えよ?…もう一日経っちまってるし。」
この姿を、俺はだいたい週一でコソコソ見ている。
「なら、実弥さんも一緒に食べましょうよ!」
「え”、いや。俺ァ…お、オィ。待て…。」
「はいはい、行きますよ!!ほら!!!」
に手を引かれて物凄く弱い否定をしつつ屋敷の縁側へと兄ちゃんは連れていかれる。