• テキストサイズ

【鬼滅の刃/不死川兄弟】紫苑ノ端唄【原作沿い】

第1章 俺が彼女を好きになる迄の話。



「ほら、食べないの?」

「食べるよ、ありがとう。」

俺はぶっきらぼうにお礼を言って、真っ二つに割れた西瓜を受け取った。もっと愛想良く出来たら…。そんな事を思いながらも__シャクッ。と、匙が西瓜にくい込むと、それが心地よくて自然と口元が緩んだ。

「は、そんだけか?」

俺のは丸々半分だが、が持っているのは1切れで、残りも器用に3角に切られている。きっと悲鳴嶼さんにでもあげるつもりなのだろう。

「私はコレで良い。お腹ちゃぷちゃぷするから。」

そう言って3角の先っぽに小さな口を持っていく。

「……………ちぃせぇ口だなぁ。」

「そりゃ、玄弥君に比べたら小さいよ。」

目を三日月型に歪ませてそう言ってから、は__フッ。と西瓜の種を中庭に飛ばした。

「小さい頃さ…。」「うん。」

「西瓜の種食うと臍から芽が出るって兄ちゃんに嘘つかれて、俺…ずっとそれ信じてたんだよ。」

「ふっ、ふふっ、可愛い。」

「だからこの前、炭治郎達と西瓜食った時、伊之助が種までボリボリ食うから、種は食っちゃダメだって怒ったら、凄い笑われてさぁ…。」

そんな下らない話をしたらが、今まで聞いた事が無いくらい優しい声で俺に呟いた。

「お兄ちゃん、いぢわるなんだね。」

縁側に手を着いて、足をプラプラさせながら小首を傾げて問いかける姿に、異様な程目を奪われた。

「あぁ、兄ちゃんはさ……。いぢわるだ。」

本当は優しい人だ。なんて言わなくてもには伝わるし、きっと絶対分かっているから。

俺は照れ隠しにそう返事をした。
/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp